ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「……ん」


 しっとりと汗ばんで顔にへばりつく髪が心地悪い。

 鉛のような倦怠感に一条はうっすら目を開けるのも億劫になっていた。


 薄暗い部屋の中で自分が今ベッドに横になっているのはわかる。


 けれど、時と時刻の感覚が全くなかった。



「……だる」



 のろのろと緩慢な動きで身を起こそうとした時だった。



 こちらが寝ているのを知っていてそれを気遣うように、そっと部屋に誰かが入ってくる気配を感じた。
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