ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「い、一条さん? 起きてたんですか? もう、びっくりさせないでください」


「別に、驚かせようと思ってたわけじゃないけど、狸寝入りしてお前を観察してただけだ」


「も、もう……」



 奈央は火照りだした顔を誤魔化すようにタオルを水で洗い直した。



「喉が渇いた……」



「お水、取り替えてありますよ枕元のところ」



 そう言いながら再び冷たくなったタオルを手に奈央が一条に寄る。



「……そうじゃねぇだろ、俺に言わせるなんて生意気だな」



 視線を逸らして少し拗ねた一条の表情に、奈央は吹き出しそうになる。


 そして、奈央はそのままペットボトルの水を口に含んだ。



「俺の言うことわかんな―――っ」


 奈央は一条の言葉を飲み込むようにそのまま口づけて含んだ水を押し流した。


「ん……」


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