ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 留置所の壁は氷のように冷たい。


 特に何をするでもなく紗矢子はパイプベッドに横たわろうとした。



 その時、部屋の鍵が開けられ刑務官が一人入ってきた。


「面会だ」



 ここの人間はまるで機械人間のように思える。


 表情も声音も抑揚がない。



 けれど自分も前は同じように冷淡な人間だったのを思い出して、こんなふうに思えるなら、まだまだ捨てたもんじゃないと思えた。



 紗矢子は面会の相手が誰なのか知っていた。


 まさか、自分が捕まった後もこうして会いに来てくれるなんて、お人好しもいいところだと半分呆れていた。
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