ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「紗矢子、元気そうだな」
「……一樹」
透明のアクリル板の向こうにこんな場所には不釣合いな程パリッとスーツを着た斎賀が座っていた。
パッと見、弁護士か何かのようにも見える。
斎賀は小さく笑うと見張りの警察官に会釈をする。
「これが元気そうに見える? ものすごく一日が長く感じるわ」
「そういうんじゃない、その長い時間をかけて自分自身を見つめ直すんだ。十分すぎる時間だろ」
「ええ、そうね……。そうだ、ねぇ、前にあなたに渡した猫のマスコット持ってる?」
「え? あ、ああ……これか?」
捕まる間際に紗矢子は斎賀にポケットから猫のマスコットを手渡した。
斎賀は胸のポケットから取り出すと、手のひらに乗せて見せた。
「そう、それ。お願いがあるんだけど……奈央にそれを渡して欲しいの」
「奈央?」
「ええ、私の……最初で最後の親友」
そう言って紗矢子はもう手に取ることもできないマスコットに目線を落とし、うっすらと目を細めて微笑んだ。
「……一樹」
透明のアクリル板の向こうにこんな場所には不釣合いな程パリッとスーツを着た斎賀が座っていた。
パッと見、弁護士か何かのようにも見える。
斎賀は小さく笑うと見張りの警察官に会釈をする。
「これが元気そうに見える? ものすごく一日が長く感じるわ」
「そういうんじゃない、その長い時間をかけて自分自身を見つめ直すんだ。十分すぎる時間だろ」
「ええ、そうね……。そうだ、ねぇ、前にあなたに渡した猫のマスコット持ってる?」
「え? あ、ああ……これか?」
捕まる間際に紗矢子は斎賀にポケットから猫のマスコットを手渡した。
斎賀は胸のポケットから取り出すと、手のひらに乗せて見せた。
「そう、それ。お願いがあるんだけど……奈央にそれを渡して欲しいの」
「奈央?」
「ええ、私の……最初で最後の親友」
そう言って紗矢子はもう手に取ることもできないマスコットに目線を落とし、うっすらと目を細めて微笑んだ。