ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 留置所は何度来ても冷たい空気を感じさせられる。


 斎賀は一週間に必ず一回は紗矢子の様子を見に行くことにしていた。


 これから実刑が下って、刑務所に入れられることになるだろう、自分の愛する女が世間から離れた場所に隔離されてしまうと思うと断腸の思いだった。


 けれど、いつか自由の身になれるその時まで斎賀は共にこの逆境を乗り越えていこうと心に誓っていた。


 そうすることで、彼女が救えるならどんな努力もやぶさかではなかった。

 斎賀は紗矢子から教えられた親友の名を何度も頭の中で反芻していた。


 クリスマスの活気も落ち着き、年の瀬の街中はなんとなく忙しく感じる。


 車を走らせて斎賀は紗矢子の親友の務めるローザンホテルのアルページュへ向かった。
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