ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 結局、奈央の不安は杞憂に終わった。


 一条が真摯な眼差しで料理をしている姿はいつ見ても凛々しく、その横顔を見ているだけで思わず見とれてしまう。



「なに人の顔じろじろ見てんだよ、ほら、できたからあいつにお前から持ってってやれ」



 最後にクランベリーソースで真っ白なプレートに彩ると、奈央に差し出した。


 一度もこのメニューを作ったところを見たことがないのに、それは奈央のイメージ通りのプレゼンテーションだった。



「それから、もうお前仕事あがれ」



「え? で、でも……片付けが」



「いいから、1130号室に来い……わかったな」



 1130は確か客室だったはずだ。奈央は訝しげに思いながら頷いた。
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