ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「メインディッシュだ」


「あ……」



 次に出されたプレートを見て奈央はつい声を小さく漏らしてしまった。


 それは、奈央が考案したクリスマスメニューの鹿肉のローストとクランベリーソース ブロッコリーのフラン添えだった。


「これって……」



「お前がこのメニューを諦められないって聞いたとき、俺にも意地があった。お前が考えたメニューで俺が作ったものを、どうしてもお前に食べてもらいたかったからな」



「一条さん……」




 こんな至福な時が過ごせるなんて、数日前なら考えもしなかっただろう。



 絶望の淵に立たされたかと思ったら、今度は想像もできないくらいの悦楽。
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