ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
薄づきの菫色のソルベの上に白銀に煌くものがあった。
奈央は息を呑んで目を瞠り、それが飾りでもなく本物の指輪であることに気づくのにしばらく時間がかかった。
「一条さん……これ……」
一条はソルベの上に軽く埋まっている指輪をつまみ上げると、呆然としている奈央の左薬指にしなやかな手つきで滑らせた。
冷え切った指輪の感覚が薬指を通じて奈央の心臓を震わせる。
「ああ、やっぱりぴったりだ。あはは、なんかお前面白い顔してるぞ」
「だ、だって……」
自分の薬指に収まった指輪を眺めていたいのに、だんだん視界がぼやけてしまう。
目頭が熱くなって、気がつけば眦から一筋涙がこぼれ落ちていた。
「お、おい……なに泣いてんだよ」
「だって……」
「さっきからだってばっかりだな、お前をこうして形で繋ぎとめておきたかった……というのは建前で……さ」
一条が奈央の両手を包み込むようにして握り締めた。
お互いに見つめ合うと、時が止まったかのように静かな沈黙が訪れた。
一条が奈央の耳元にそっと唇を寄せたその時―――。
「Je t'aime. Marions-nous」<愛してる、結婚しよう>
奈央は息を呑んで目を瞠り、それが飾りでもなく本物の指輪であることに気づくのにしばらく時間がかかった。
「一条さん……これ……」
一条はソルベの上に軽く埋まっている指輪をつまみ上げると、呆然としている奈央の左薬指にしなやかな手つきで滑らせた。
冷え切った指輪の感覚が薬指を通じて奈央の心臓を震わせる。
「ああ、やっぱりぴったりだ。あはは、なんかお前面白い顔してるぞ」
「だ、だって……」
自分の薬指に収まった指輪を眺めていたいのに、だんだん視界がぼやけてしまう。
目頭が熱くなって、気がつけば眦から一筋涙がこぼれ落ちていた。
「お、おい……なに泣いてんだよ」
「だって……」
「さっきからだってばっかりだな、お前をこうして形で繋ぎとめておきたかった……というのは建前で……さ」
一条が奈央の両手を包み込むようにして握り締めた。
お互いに見つめ合うと、時が止まったかのように静かな沈黙が訪れた。
一条が奈央の耳元にそっと唇を寄せたその時―――。
「Je t'aime. Marions-nous」<愛してる、結婚しよう>