ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 この奈央の曰くつきのコンソメスープの話題は、キッチンの誰もが知ってるほどアルページュでは有名な話になっていた。



 奈央が新人だった頃に世に名前を知らしめすきっかけになったスープとも言える。




 とんだミスで作ってしまったコンソメスープを、一条の機転と計らいで料理評論家にサーブしたことにより評判になってしまったのだ。


 紅一点シェフなどとニックネームまで付けられて雑誌にまで取材が及んだほどだった。




 オニオンの甘味と旨みをフランスパンが吸い込み、奈央はそれを口に運びながら至福の時を過ごしていた。



「美味しい!」



 フレンチの巨匠、そして恋人のオニオンスープをこの世の中で独り占めしているのは自分だけだと思うと妙な優越感が生まれた。
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