ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「奈央ーちょっと奈央、さっきから何も食べてないんじゃない?」



「あ、ごめん……じゃあ、何かいただこうかな」



「そうそう! ど素人の料理でもプロに褒められれば嬉しいんだからさ」




 紗矢子は笑いながら奈央に料理を取り分ける。



 サラダにスープに和もあれば洋もある。




 奈央はその中でふとコンロの上のスープに目がいった。



「これは?」




「あ、それ? オニオンスープよ、すっごく美味しいの! 好きなの自分で取ってね」




 奈央はそのオニオンスープを器に注いで、一番始めに手をつけた。




「あー奈央、メインはこっちだからね~」




「うん、ありがとう」




 奈央がオニオンスープを口にした時、思わずスプーンを落としそうになってしまった。



「どうしたの? あ、わかった! あまりにも美味しいからびっくりしたんでしょ」



「……うん」




 奈央はそう言いつつも、あまりの動揺にそれ以上スープに手がつけられなくなった。



『どうして……この味は……』




 誰かが自分を呼んでいる声がする気がしたが、周りの話し声など全く耳に入ってこなかった。
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