ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
『よっぽど疲れてたのね……仮眠って自分の部屋でとればいいのに』




 奈央が何か掛けるものはないかあたりを見回したが何も見当たらない。


 その時、今日は少し厚手のコートを着て来たのを思い出した。




『こんなんで暖かくなるかな……でも、ないよりマシだよね……風邪なんて引かれたら大変だし』





 今のキッチンを一人で統括することなど到底無理だ。


 それを思うと、一条の要領の良さを改めて実感する。


 奈央はコートを掛けると身を屈め、一条の頬に軽くキスをした。



『おやすみなさい』




 奈央は一条の無防備な寝顔を見つめながら、溢れる愛しさに胸を締め付けられた。
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