ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
『ダメだ』


 突き放したような一条の目を思い出すだけでも視界が滲む。




 信号待ちをして青になった瞬間飛び出そうとした時、後ろからぐいっとものすごい力で腕を引かれた。



「!?」



 無理矢理半回転させられて奈央は振り向かされると、肩を大きく上下に動かして、乱れた呼吸を整える一条が立っていた。



「ったく! なんなんだよお前、いきなり店から飛び出したりして、俺をこんなところまで走らせやがって、この馬鹿女」




 奈央は震える唇を噛みながら一条と視線を交えることがでいないでいた。
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