ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「こ、ここは……」



「ラーメン屋です」



 車を置いて奈央は今、自分の目の前に佇んでいる店が羽村のイメージとだいぶ違うことに驚きを隠せないでいた。



 木製の小さな小屋のようなラーメン屋は入口に赤提灯をぶら下げている。


 奈央は羽村の品格のある出で立ちで引き戸を引く姿が想像できなかった。


「あ、あの……」



「なんです? 寒いから早く入りましょう」


「え、ええ」



『羽村さんだって人間なんだから、ラーメンくらい食べるでしょ! なに狼狽えてるの私』
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