ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
 図星を突かれて奈央は赤面した。


 しかも可愛いなんて言われたら身も蓋もない。



 いつの間にかにマンションの駐車場について車を止める。


 車内にメーターパネルの照明がぼんやり浮かんで、一条の横顔が浮き彫りになるとその端整さに心臓が跳ね上がった。



「悪い、一服いいか?」



 普段車内で喫煙はしない一条だが、相当実は疲れているのだろう。


 煙草の箱底を指で弾くと一本だけ飛び出して、それを咥えて慣れた手つきで火を点ける。




「言っておくけど、あの料理教室はままごとみたいなもんだ。講師だってお前より腕は劣るぞ」



 窓を開けながら一条が言うと、奈央は俯いていた顔を上げた。



「それに、あの名刺だってなんか無理矢理渡されたものだし、別に捨ててもいいけどお前の友達だって言うからさ……」




「もしかして、私に気を遣ってくれてたんですか?」



「さぁな……」



 一条が窓の外に紫煙を吐き出して、先の灰をトントンと人差し指で落とす。


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