ヴァルキュリア イン キッチンⅡeternal
「ん……奈央か?」
「っ!?」
一条は目を覚まし、立ちすくんでいる奈央を見上げている。
「あ、おはようございます。勝手に入ってきてしまったんですが、もう時間ですよ」
奈央はそのまま雑誌をパタンと閉じた。
「コーヒー淹れますね、エスプレッソの方がいいですか? きゃ」
キッチンに行こうと身を翻そうとした時、不意に一条が奈央の手を取って、ぐっと引き寄せた。
自然の流れで軽く挨拶のキスを交わす。
「恋人同士はキスで一日が始まり、キスで一日が終わるもんだろ」
「も、もう……こういうの結構恥ずかしいんだから」
奈央の小声には全く気づかないといったふうで、一条はソファから身をお越してキッチンカウンターへのろのろと向かった。