年下の彼氏
そして愛奈はニコリと笑うと小走りで近くの自動販売機へと行ってしまった。
その後姿が可愛くて何度も見てしまう。


『ねぇーねぇー、お兄ちゃん!』

「ん?」


突然、俺の前に現れたのは幼稚園児ぐらいの小さい女の子。


『あの女の人は、お兄ちゃんの女なの?』


・・・おいおい。
小さくて可愛い女の子がそんな事を聞いて来るとは思ってもいなかった。
2つ結びをしてワンピースを着ている女の子は自動販売機に居る愛奈に指を向けている。


「うん、俺の彼女だよ。」


笑顔で答えると女の子の顔も笑顔になった。
子供の笑顔は、やっぱり新鮮で思わず和んでしまう。


『ならチューはしたの?手は繋ぐの?』


・・・最近の幼稚園児はとんでもない事を。
こんなこと、今時の幼稚園児は知っているのか?
ウキウキしながら聞いて来る女の子に酷い事は言えない。


「うん。手も繋いだし、チューもした!」


それを聞いた女の子はニコニコして、またとんでもない事を言ってきた。


『なら凛の目の前でして!』

「え・・・。」


どうやらこの女の子は「凛」という名前なんだろう。

でもこんな幼稚園児の前でキスするのは。
さすがに抵抗がある。
それにココは親子連れがたくさんいる公園だぞ?


「空くん、買って来たよー。」


そして缶ジュースを持ってやって来た愛奈。


「あれ、その女の子空くんの知り合い?」


女の子を見てニコニコ笑う愛奈。
小さい子供が好きなのかな?


「いや、違うよ。」


まさか「チューして」と言われたなんて絶対言えない。

< 13 / 16 >

この作品をシェア

pagetop