年下の彼氏
「そうですけど。」


誰だか、わからない女の人。
それに私の名前まで知っている。


『今ねー、空といるの。』


意味が、わからない。
空くんは今・・・この女の人と居るって事?

嘘だよね。
嘘に決まっているよね?
もしかして、前の彼女?
それとも・・・空くん浮気してるの?


『おい、お前、何してんだよ!』


何も話さないでいると電話から聞こえた大きな声。
この声はもちろんあの人だ。


「空くん・・・!」


それは紛れもなく空くんの声だった。
愛しい人に声を忘れるわけがない。


『空こそ何やってんだよ!離せー!』


空くんと女の人の声が私の耳に交互に聞こえてくる。
空くん、その女の人とは・・・どういう関係なの?


『愛奈!ゴメンけど俺の家に来て!』


電話を女の人から奪ったのか空くんは確かにそう言った。


「・・・うん。わかった。」

私はそれに頷き携帯を鞄に入れて足を進めた。
空くんの家は公園から、そんなに遠くなく20分ほどで着いた。
震える手でチャイムを鳴らす。

-ピンポーン

『はーい。』


ドアが開くと同時に出てきたのは・・・女の人。
この人が、さっきの女の人かな。
そう思うと悲しくて言葉が出てこなかった。


『あっ、愛奈ちゃん?』


さっきの電話の女の人と思われる人が今、私の目の前にいる。
そして女の人はニッコリ笑った。口調や格好は不良の様に思えたけど笑顔は凄く乙女という感じだった。
たぶん、いや絶対に私より年上だ。


「・・・はい。愛奈です。」


そう答えるとバタバタと足音が聞こえて来た。
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