Dearest
その日の夕方。


仕事を終えたラヴが家までの道を歩いていると、ラヴの広い背中を見つけたアキが駆け寄ってきた。



「おかえりラヴ♪」

「アキ!買い物ですか?」

「うん。タイムセールのチラシが入ってたからね」

「そうですか。では一緒に帰りましょう」



ラヴがアキに手を差し出すと、アキは何かを思い出した。



「あっ!アイス買うの忘れた!!あの子達アイスないとうるさいから買ってくるね。ラヴ先帰ってて」



アキはそう言うとスーパーへと戻っていった。


ラヴは行き場のない手を引っ込めると、1人寂しく家の方向へ歩いて行った。



昼間に比べて涼しい夕方。

夏独特の空気を感じながら歩くラヴ。




「…………………」



ラヴが家に着くと、玄関の前におかしな“もの”がいた。


家の前を通り過ぎる人達はそれを見て笑う。




「…レオン。あなたは何をしているのですか」



ラヴが見たおかしなものは、水を張った透明な衣装ケースに体がピッタリとハマっているレオンだった。


まるで捨てられた犬のよう。



「おかえり、ラヴ。俺専用のプールだよ♪いいでしょ」


「いいでしょって…ふっ…。何が置いてあるのかと思いましたよ。ふふっ。大きなおもちゃが入ったおもちゃ箱みたいですよ?しかも玄関の前で……ぷっふふふふ…」


「笑いすぎだよ!」




ケースにハマっているレオンを見て、ラヴは笑っていた。
< 134 / 596 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop