Dearest
ラヴが横を通り過ぎる時、微かに香ったラヴの匂い。



甘く、切なく優しい、ついて行きたくなる程の繊細なようで力強そうな男の人の匂い。


一度嗅いでしまうと離れる事が許されない魅惑の香りを纏ったラヴ。




アキはラヴを見ると

背が高く、華奢なくせに程良く引き締まった身体の大きな背中が見えた。



ラヴが振り向くと、艶やかな漆黒の髪の隙間から覗く綺麗な瞳に筋の通った鼻、白い肌が見える。




アキはラヴを綺麗だと思った。




「…動いてるだけで綺麗だと思うなんて、ラヴは人間とは別の生き物みたいだね」



アキの言葉にラヴは目をまんまるにした。




「アキもお人形さんみたいで可愛いですよ」

「え?人形!?」

「はい。……誰にも取られないよう、見られないよう、私だけの玩具箱に閉まっておきたい程に美しい」



ラヴの灰色の瞳に見入られたアキは、真っ赤になって固まる。


その真っ直ぐな瞳からは目を反らす事が出来ない。




まるで、鎖で縛られているかのようにラヴから離れる事が出来ないアキ。
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