Dearest
「レオン、朝だよ」



続いてレオンの部屋を訪れると、レオンはサッカーのDVDを観ながら寝たのか、テレビの前で眠っていた。




「もー、風邪ひいたらどうするのよ。ほら、起きて」

「まだ眠い〜…」



レオンは嫌々と頭を振る。


体は大きくなったのに昔と変わらないレオンの仕草にアキは笑った。




「…アキがチューしてくれたら起きる」

「一生寝てろ」



着替え終わり、ドアから覗いていたアシュリーはレオンを殴ると、アキを連れて階段を降りていった。




「あー腹減った。アキ、コーヒー淹れて」

「はいはい。サミュエルもおかわりいる?」

「はい、お願いします」



コーヒーを待っている間、アシュリーは煙草に火をつけた。




「アシュリー、ご飯の時は吸うな。前も言った」



サミュエルはアシュリーを睨むが、アシュリーはお構いなしに煙草を吸う。




「そうだよ、アシュリー。煙草は周りでその煙を吸ってる人の方が害があるんだから、やめてって言われたらやめなさい」

「へいへい。わかりましたよ」



アキがアシュリーにコーヒーを差し出すと、アシュリーは渋々煙草を消した。



食事を終えたサミュエルは、パタパタと洗面所に向かう。


すると、サミュエルと入れ替わるようにラヴがキッチンへとやってきた。



「おはようございます」

「ラヴ、おはよ」



ラヴはキッチンにあるテーブルの定位置に座る。




「今、紅茶淹れるから待っててね」

「はい、待ってます」

「アキ、パン2枚じゃ足りねぇよ。おかわり」

「はいはい」



育ち盛りは終わったはずだが、まだまだ若い子ども達は朝も昼も夜もよく食べる。



それと同じようにラヴも食べるので、エンドロール家の食費は半端なかった。




その上3人を同時に大学に通わせ、学費やら何やら出費の多いエンドロール家だが

ラヴも世界的に有名な俳優になり、稼ぎはそれなりの物だから金銭面の心配はない。



しかし、女のアキの頭には節約という文字があり、家計簿をつける度に頭を抱えていた。
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