Dearest
支度を終え、学校へ向かうアシュリーとサミュエル。



「いってくる」

「いってきます、母さん」

「はい、いってらっしゃい」

「…サミュエル、私には言ってくれないのですか」



いってきますと言ってもらえないラヴは、しょんぼりする。


そんなラヴの隣で2人に手を振るアキ。



「…って、レオン!起きなさい!!」

「俺、講義午後からだもーん」



怒鳴るアキをよそに、レオンはパクパク朝食を食べていた。




「折角だから2人と一緒に行けばよかったのに」

「いいの。アシュリーいると怒るからナンパ出来ないし」



しれっとそんな事を言ってのけるレオンにため息をつくと、アキは洗濯を干しに行った。



子ども達は中学生頃から身長がぐんぐん伸び始め、簡単にアキの背を抜き、体つきも男らしくなった。



性格は小さい頃とさほど変わらないが、少しずつ自分達の世界を持ち始めていた。



アキはそれを嬉しく想う反面、寂しさも感じていた。




「ちょっと早いけどいってきまーす」

「もうマイペースだな、レオンは。気をつけていってらっしゃい」



レオンを見送り、リビングに戻るとラヴも仕事へ行く支度を始めていた。



「今日は何の仕事?」

「今日は単発ドラマの撮影です」

「頑張ってきてね、食費のかかる子ども達のために」



アキはラヴのネクタイを結びながら呟く。




「仕事終わったら、すぐ帰ってきますからね」

「うん!いってらっしゃい」



ラヴを見送り、1人になった家で思いに耽るアキ。
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