Dearest
「え…なんで…?」


アキは繋いでいた手を離した。



「ラヴの事だ、打ち合わせとかじゃねぇの?ラヴは浮気するような男じゃねぇよ」

「でも笑ってた!」



アシュリーはアキを見つめる。




「ラヴ…あたし以外の女の人の前で…あんなに笑わない。…笑わないよ」



ふらつくアキをアシュリーは抱き寄せる。

アキは小さく震えていた。



「…そんなに気になるなら俺らも入ってみるか?様子見てみようぜ」



アシュリーはアキを引っ張ると、ラヴが入って行ったホテルへと入った。




「一応、ラヴには帰る時連絡しろってメール入れといたから」

「ありがとう。でも、あたし達まで部屋とる必要あった?ロビーにでもいればよかったんじゃ…」

「お前を落ち着かせる為だろ」



アシュリーは部屋にあるお茶を淹れ、アキに渡す。


アキは浮かない表情のまま俯いていた。




「信じてやれよ、ラヴを」

「…信じてないワケじゃないよ。自分に自信がないだけ」

「自信?」



アシュリーはアキの座っているソファの横に腰を掛けた。




「…ラヴは世界的に有名な俳優だしカッコいいけど、あたしは平凡な一般人で…。特別美人でもスタイルが良いわけでもないし、特に取り柄もない。…いつ捨てられてもおかしくないもんっ…」



アキはそう言うと泣き始めた。




アシュリーはそんなアキを見て

いつも何の悩みもなさそうに笑ってるアキだけど、どこかでいつも不安だったんだな…と思った。




「…アキ、ラヴがお前を捨てるなんてありえねぇけど、もしそうなったら俺がいる。安心しろ」



アシュリーはアキの頭を撫でた。



その時、部屋のドアが開く音が聞こえ、振り向くとラヴが立っていた。




「…ラヴ?なんで…」

「俺がさっきメール送った時、早く来ねぇとアキ犯すぞって部屋番号と一緒に送ったんだよ」



アシュリーはニカっと笑う。




「言っとくけど、何もしてねぇからな」

「わかってますよ」



歩み寄ってくるラヴを見てアキはアシュリーの後ろに隠れた。
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