Dearest
ラヴの病室に向かうと、レオンとサミュエルがラヴのベッドの横に座っていた。



アキに気付くとレオン達は席を外す。




「アキ…」



ベッドに寝ているラヴがアキに手を伸ばすと、アキはその手を握る。




「ラヴっ!!大丈夫なの?」

「はい、何て事ありませんよ」



ラヴはアキに薄く微笑む。




「アキを守るのが生きがいですから、これくらい大丈夫ですよ。だから泣かないで下さい」



ラヴはいつの間にか泣いていたアキの涙を拭う。





「…ラヴ…本当にあたしがそばにいていいの?いつも助けてもらってばかりで、あたしは何も出来てない。あたしはラヴから離れた方がいいんだと思う…」



泣きながらそう呟くアキの頭を撫でるラヴ。


ラヴは優しい瞳でアキを見つめていた。




「そんな必要ありません。アキは私の光です。光がない世界で人は生きられません。だから私にアキは不可欠なんですよ」


「…そばにいても…いいの?」


「はい、いて下さい」


「また…こんな目にあっちゃうかもよ?」


「アキがいるなら構いません」




ラヴはそう言うと、寝息をたてて眠りについた。



そんなラヴを見つめながら、アキは声を押し殺して泣いていた。








光は影を作る。

あたしが光なら、ラヴに忍び寄る危険が影。



だったら

あたしは…消えてしまった方がいい。




アキは眠っているラヴにキスをすると、病室を出て行った。





それから
アキは姿を消した。
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