Dearest

海に着くと風が吹き抜ける肌寒い浜辺に、小柄な女性が髪を靡かせながら座っていた。



「アキっ!!!!」



ラヴがそう叫ぶとその女性は肩をビクッと震わせ、振り向く。


そこにいたのはアキだった。




ラヴに気付き、逃げようと走り出したアキをラヴは簡単に捕まえた。



ラヴが自分の胸にアキを抱き寄せると、アキはラヴの胸の中で暴れる。




「アキ…アキ…」


ラヴはアキを力強く抱き締める。




「離して!!」

「嫌です。アキは言ったじゃないですか、ずっと私といるって。…アキは嘘つきになってもいいんですか？」



ラヴの言葉を聞いたアキは、抵抗をやめた。





「だって嫌なんだもん…ラヴが傷つくのが嫌なんだもん!!」

「私はアキがいない方が傷付きます。アキを失うのは嫌です」



ラヴはアキの背中を優しくさする。





「だって…あたしが光ならラヴを傷付ける影を作ってるのはあたしなんだよ？あたしなんかいない方がラヴの為だもん」


「いいえ。光がアキなら影は私です。私はアキがいないと存在しなくなります。アキ…お願いですから…そばにいて下さい。あなたを失いたくない…。アキ…I love you」



ラヴがそう呟くと、アキはラヴにしがみついて泣き叫んだ。


ラヴも瞳に涙を溜めながら、アキが泣き止むまでずっと頭を撫で続けた。




「おかえりなさい、アキ。家に帰ったらいつもの焦げたハンバーグ作って下さいね」



ラヴはそう呟くとアキの額にキスをした。





「ただいま、ラヴ…」






色んな出来事を経験し、人は成長していくもの。



今回の悲惨な出来事もいつかはエンドロール家の１つの成長に変わる。