Dearest
ふと気付くと、サミュエルがお風呂に入ったきり中々出てこない。



「サミュエル?お風呂で寝ちゃ危ないよ」



心配になったアキがお風呂場へ向かうと、洗面所で濡れたまま座っているサミュエルがいた。




「早く拭かなきゃ風邪引いちゃうわよ」



アキはバスタオルでわしゃわしゃとサミュエルを拭く。




「サミュエルはたまに自分で拭かないよね。クセなの?」

「いえ、母さんに拭いて欲しいんです」

「そっか。サミュエルはいつまで経っても可愛いね」




アキはふふっと微笑みながら、サミュエルを拭き続けた。


そんなアキをじっと見つめるサミュエル。




「よしっと。じゃあリビング行こうか」



アキがそう言うとサミュエルはアキを抱き寄せた。




「サミュエル?」

「僕も母さんを抱きしめられます」

「うん。大きくなったね、サミュエル」



サミュエルは少し悲しそうな顔をしてアキを離すと、アキの手を引いてリビングへと向かった。



リビングにはラヴの姿しかなかった。




「あれ?アシュリーとレオンは?もう寝たのかな」


「アシュリーは煙草買いにコンビニに行きましたよ。レオンはもう寝るそうです」


「僕ももう寝ます。母さんおやすみなさい」


「サミュエル、どうして昔から私には挨拶してくれないのですか」



サミュエルに挨拶をしてもらえずヘコむラヴ。




「ヘコまないの!ほら、お風呂一緒に入ろ?着替えもってきて」



しょんぼりしていたラヴはアキの一言で目を輝かせ、自室に着替えを取りに向かった。
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