Dearest
元気がなくなってしまったレオン。


次の瞬間、レオンはボールをカットしに来た敵に思い切り足を蹴られ、その場に倒れた。



痛みに顔を歪ませ、うずくまるレオン。



担架で医務室に連れて行かれるレオンを見たアキは、いても立ってもいられなくなり医務室へ走り出した。



その後を追おうとするアシュリーをラヴは止める。




「みんなで行ってもレオンは傷付くだけです。アキに任せましょう」



アシュリーはラヴの言葉に頷き、再びその場に座った。





アキが医務室に着くと、中には足に包帯を巻かれベッドに座り俯くレオンだけがいた。



「…レオン?」



アキが声を掛けるとレオンは顔を上げ、無理矢理いつもの笑顔を作る。


アキはそれが痛かった。




「…ごめんね?勝つなんて言っておいてこんな風になっちゃって。…笑っていいよ」



レオンは苦笑いしながら呟く。




「…笑わない。あたしは笑わないよ」

「笑えよ!何やってんだって笑えよ!!…笑ってくれよ。バカだって笑ってくれよ!!」



アキは自棄になって叫ぶレオンを抱きしめた。




「レオンを笑う人なんかいない。いつだってレオンはカッコいいもの」



アキの言葉を聞いたレオンは、震えながらアキを強く抱きしめ返した。




「…アキ…俺、辛い。…もう自信がない…」



いつも自信家で自分に誇りを持っている明るいレオンが初めて見せた弱さ。



アキはただ、そんな彼を抱きしめる事しか出来なかった。




「どうしたら…元気になる?レオンは元気じゃないとレオンじゃないよ」

「…じゃあ…キスして」

「それはダメ」

「…アキは酷いよね。いつも思わせぶりながら突き放す。今だって綺麗事を言いながらも腹ん中じゃ俺の事笑ってんだろ」



レオンがそう言うと、アキはレオンの服を掴んでキスをした。
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