Dearest
5人は嬉しそうに遊園地を駆け回っていた。



「次はあれ入ろ〜♪」



レオンが指差したのは、日本一恐いと言われているお化け屋敷。



「やだ!あたしパス」

「大丈夫。お化けやってんのは人間なんだし」



嫌がるアキを引き連れ、5人はお化け屋敷の中に入った。



薄暗い中は暗いクラシックのBGMと悲鳴が響き渡っていた。


アキはそれだけで足が竦んでしまう。




「あはは!見て〜。ここに何かいた―」

「レオン、お前くらいだぞ。お化け屋敷でそんな笑う奴は」

「バカは呑気でいいな」



子ども達は笑うレオンに呆れながらもどんどん進んでいく。




「アキ、大丈夫ですか?」



ラヴは震えるアキの手を握りながらゆっくり歩く。


温かいラヴの手に少し安堵感を覚えたアキ。



しかし、安心したのも束の間

何かが壊れる音がしたと思ったらレオンが叫びだした。



「ラヴ!アシュリーが何か壊したぁ!!」

「…何を壊したんですか?」



ラヴはアキの手を離し、前方を歩く子ども達の元へ向かった。



アキの目にはラヴが暗闇に吸い込まれて消えて見えた。




「アシュリーがこのろくろ首殴って壊した」

「なんで殴ったんですか」

「いきなり出てきたコイツが俺の頭にぶつかったんだよ!だからやり返しただけだ。コイツが悪い!!」



アシュリーは壊れたろくろ首を指差す。




「…アシュリー、お化け屋敷とはいきなり飛び出てくる物ですよ。出てくる度殴ってたら全部壊わしてしまいます」



ラヴはため息を吐く。





「ラヴ…母さんは?」



サミュエルの言葉にラヴはハッと繋いでいた手を見つめた。




「まさか置いてきたのか?」

「ラヴ最低!」

「…誰のせいだと思ってるんですか」



男達は暗闇の中アキを捜し出す。


しかし、視界が暗く足元すらろくに見えない。




「アキ〜俺が1番に見つけたらラヴと離婚してね〜♪」

「うるさい、レオン」



サミュエルはレオンに呟く。
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