Dearest
アキは買い物を終え、施設に戻るとキッチンへ足を運んだ。


キッチンには美味しそうな匂いが漂い、アキの鼻歌が響いていた。




「ラヴ、今日帰ってくるって言ってたよね。一週間だけドラマのロケでフランスに行くって言ってたから、今日帰ってくるはずなんだけど…」



アキがキッチンの椅子に座っていると、携帯が鳴った。



「ん?電話だ」



アキが携帯を開くと、画面にラヴの名前が映っていた。




「もしもし、ラヴ?初めてだね、ラヴが電話掛けてくれるの」

「はい、アキからたくさんメールがきていましたから電話してみました」



アキは、ラヴが不在の間何通もメールを送っていた。




「だってラヴ、最近帰ってこないんだもん」

「すみません。仕事がたくさん入ってまして。明後日には帰りますよ」

「今日帰ってこないの?」

「はい。収録が長引いてしまって、今日はまだフランスにいるので帰れません」

「…そっかぁ…」



アキはテーブルに置いてある皿を見つめる。




「…アキ、お土産買って帰りますから泣かないで下さい」



いきなりラヴがそんな事を呟くから、アキは吹き出して笑ってしまった。
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