Dearest
ラヴを見つけ、アキをこの世に生み落としたMrs.桜井にアシュリーは感謝をしたいと思った。



その2人の息子になった今、幸せでたまらない。


その幸せの先には、Mrs.桜井が残した奇跡と軌跡がある。



彼女がいたから今の自分がいる。

アシュリーはそう思った。





声を押し殺して泣くアシュリーをアキはそっと抱きしめていた。



「アシュリー…あたしはあなた達と出会えてよかった。…お母さんがホワイトガーデンに勤めててよかった。お母さんから生まれてよかった…」



2人は星が消える時間までベンチで寄り添っていた。






帰国する日。

ハルとナツは暫くホワイトガーデンに残るとの事で、エンドロール家を施設の外まで見送りにきた。



「また連絡するわ。キズナ君も後数年したらこの施設を宜しくね」

「おばさん、私頑張って勉強しますから安心して下さい」



キズナはハルと握手を交わす。



レオンとサミュエルは、まだMrs.桜井の事を吹っ切れず、名残惜しそうにホワイトガーデンを眺めていた。




「ママ、家に帰ったら私に保育の勉強を教えて下さいね」

「うん、いいよ。教科書と参考書部屋にあるからそれもあげる」



空港へ向かうエンドロール家を白い建物が見送っていた。




母が何よりも大切にした場所、ホワイトガーデン。


その場所をいずれ受け継ぐキズナ。




幾年もの長い歳月を送ってきたホワイトガーデンは、たくさんの想いたくさんの絆を築いてきた。




白い建物という花壇に子ども達が色とりどりに成長し、沢山の花を咲かせて欲しいと願われた施設は


意志を受け継いだ子ども達によって、この世の何よりも綺麗な色で彩られてきた。





築かれてきた軌跡を受け継ぐものがいる限り、その色が色褪せる事はない。
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