Dearest
「ラヴ!」



アキは嗚咽するラヴに駆け寄る。




「…アシュリーから聞いたよ。あたし記憶がなくなるかもしれないんだってね。…あたしも信じられないよ」



アキはラヴの背中をさすりながら呟く。


海を吹き抜ける風に髪を靡かせながらアキは笑った。




「大丈夫だよ、ラヴ。あたしはあなたを忘れたりしない。もし忘れてしまっても、その瞳を見つめれば全てを思い出せる気がするの。

…それにDearest。ラヴが全てを書き綴ったあの小説さえあれば、忘れた記憶を思い出せるわ」


「嫌です。あなたに忘れられてしまうのは嫌です!!…アキっ…いやだ…」


「…今度はあたしの代わりにラヴが泣いてくれたね」




アキはラヴと結ばれる前、孤独が嫌だと、独りは寂しいと泣けないラヴの代わりに自分が泣いた時の事を思い出した。



「…あんな昔の事を覚えていたのですか?」

「初めてラヴの心が見えた大切な思い出だもん。忘れるわけないでしょ」




優しく笑うアキをラヴは力一杯抱きしめた。
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