Dearest
購入したばかりの8人乗りのワゴンに揺られている5人。


運転席にラヴ、助手席にアキ、3列目にアシュリーとサミュエルが座り、2列目にレオンが寝ている。


アキは時折、寝そべるレオンが落ちないか見ていた。




3列目に珍しく仲よく並んで座っているアシュリーとサミュエル。


アシュリーは外を見てはじゃいでいて、サミュエルは楽しそうに歌を唄っている。



アキはそれを見て笑っていた。




「今日行く所って海なんだよね?まぁ、まだ泳げる季節じゃないけど」

「はい。アキは虫が嫌いなので海にしておきました」

「ありがとう、ラヴ」



アキは初めて見るラヴが運転する姿に、胸をときめかせていた。




「何ですか?私の顔に何かついてますか?」

「えっ違うよ。何でもないよ」



先ほどからじろじろと見てくるアキに気付いたラヴ。




「惚れ直しましたか?」

「やだもう、ラヴったら」



アキがそう言ってラヴを突き飛ばすと車は大きく揺れる。


その衝撃でアシュリーとサミュエルは壁にぶつかり、レオンは座席から落ちた。




「あわわっ!!ごめんねっみんな」

「危ねぇな!車ん中でいちゃつくな!!ラヴはちゃんと運転しろ!!」

「うーん…おはよ」




怒りを露わにするアシュリーとは反対に、レオンは目を擦りながら起き上がった。
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