Dearest
「アキ、構ってほしいのはわかりますが運転中は我慢して下さい」



ラヴがそう言うと、アキはそっぽを向いてふて寝をしてしまった。


ラヴはフッと笑う。




いつの間にか騒がしかった車内には、寝息だけがこだましていた。



「皆さん寝てしまいました。初めての遠出ですから疲れてしまいますよね。
でも…これが家族旅行ってものなんですよね。私は今、凄く幸せです。…皆さんも同じ気持ちでいてくれたらいいのですが」



ラヴは隣で眠るアキと後部座席で眠る子どもたちを見て、顔を緩めていた。




「う…ん。ごめんね、寝ちゃって。ラヴに運転任せたまま」



暫くして起きたアキはググッと伸びをする。




「いえ、大丈夫ですよ。アキもまだ寝ててもいいですよ」

「ううん、もう平気」



アキを後ろを向くと、あどけない顔で眠る子どもたちを見て微笑んだ。




「こうしてると本当に家族みたいだね。まぁ、あたしは本当の家族だと思ってるけど」


アキはニッコリと微笑む。




「はい。私もです」

「ラヴと2人でも凄く幸せだったけど、この子達が来てからもっと幸せになったよ」

「そうですね、もう子どもが出来た親の心境です」



ラヴとアキの会話を子ども達がこっそり聞いていたのを2人は知らない。



子ども達は寝たふりをしながら幸せを噛みしめていた。
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