恋愛短編集
私が書類を作成していると、部屋のドアが開く。

ふんわり、といい香りもする。

「お帰りなさい。今日は予定よりも早いんですね」

私は手早く、今までの内容を保存した。

「うん。早く帰れる時は帰りたいからさ。麻幸は大体時間決まってるし……手が空いたなら、ご飯、食べに行こうか?たまには」

いつもなら帰宅時間に合わせて、私が食事を用意する。

こうやって、早く帰宅できる時は外食をしたりもする。

「葉大さんが良いなら、外食にしましょう。今、準備します」

私は手早くパソコンの電源を切り、ウォークインクローゼットに向かう。

「ゆっくり待ってるから、焦らなくて良いよ」

葉大さんはニッコリ笑い、私の部屋を後にした。

私は軽く息を吐き、ウォークインクローゼットの中から、薄いピンクのシャツに濃紺のカーディガン、ボルドーのキュロットパンツを取り出し、白のコートも手にする。

手早く着替え、化粧もするとリビングに向かう。

葉大さんは英字新聞から、私に視線を向け、微笑んだ。

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