恋愛短編集
「可愛いね。何食べたい?」

私はうっすら、口元を緩めた。

「何が食べたいと思いますか?」

葉大さんは瞬きをして、口元を緩めた。私の頬を軽く撫でる。

「そうだなぁ……。今日は寒いし、お鍋とか?おでんは?」

私は目を丸くして、クスクスと笑う。

「凄い!さすが、葉大さん」

「昨日、じっとおでんのCM見ていたし。俺もおでんが良いなって思ってたから」

葉大さんは、私の手に自分の指先を絡ませる。

出会ってから、ずっとこの繋ぎ方。

私はチラッと葉大さんの顔を見上げて、口元を緩めた。

マンションの一階には、既に迎えの車が到着していて、葉大さんはドアを開けてくれ、私が先に入る。

葉大さんが中に入ると、目的地を告げて、車は出発した。

「そうそう、明日から師走だね。帰り、遅くなる事が多くなるから、警護を増やすから」

私は瞬きをして、軽く頷く。

「ご実家の方にいましょうか?それか、弥一さんのご自宅とか」

葉大さんは瞬きをして、口元を緩めた。私の頭を軽く撫でる。

「それでも良いんだけど……。俺的には、出来るだけ早く二人きりになりたいな」

私は頬を赤く染める。
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