恋愛短編集
「わ、分かりました……」

葉大さんは笑顔をくれる。

私は恥ずかしくて、中々笑顔なんて見せる事ができない。

それだけではない。

葉大さんの側には長く、いることなんて……できるはずがない。

きっと。

「ああそうだ、お正月は三日までお休みをとるから、麻幸もきちんと休みをとってね。できれば大晦日から欲しいかな」

大晦日!

私は一瞬、顔を強ばらせた。

「大晦日は、姫佳さまがどうしてもショッピングに行きたいとおっしゃっていらっしゃっていて……」

葉大さんは眉を潜め、唸る。

「ショッピング?いつでも行けるのに、わざわざ大晦日に行くの?」

「はい!何でも限定品があるとか……」

葉大さんは、不思議そうに首を傾ける。

「ふぅん。でもさ、姫佳、無理じゃないかな?」

「どうしてですか?」

「邑理、大晦日から休みをとって海外で年越しするって張り切っていたからね。だから、俺も大晦日は大丈夫かなって思ったんだ。ただ、四日間だと海外は厳しいから、今回は近場で温泉とかどうかなって考えているんだけどね?」

葉大さんは私の髪を軽くつまむ。

「麻幸も、たまには仕事を忘れてゆっくりした方がいいよ。家に持って帰ってまでする程、熱心にしなくても良いんじゃないかな?」

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