恋愛短編集
姫佳は大きく息を吐く。

「さて。邑理がくるまで、必要な箇所に行こうか。少なくとも、穂佑実ちゃんは僕と一緒になっているからね。悔いが残っても困るし」

姫佳は溜め息混じりに、企業ブースで買い物を済ませると、着替えて出口に向かう。

出口では、キョロキョロと首を動かしている邑理がいた。

姫佳を見付けると、走って近寄った。

「姫佳さん!無事でしたか?」

姫佳は、慌てている邑理を不安げな瞳で見上げた。

「無事って、何故?」

「あんなに可愛らしい格好をしていたら、誘拐されてしまいます!良いですか?ああいった格好は、今度から自宅の自室と、わたしの部屋だけで。それ以外は絶対に禁止です!」

邑理は必死にいい放つ。

「邑理。僕たちは行くよ。麻幸は5日からでいいかな」

「ああ。悪いね。麻幸さん、いつもありがとう。来年もよろしくお願いします」

邑理は深く、麻幸に頭を下げる。麻幸も頭を下げた。

「こちらこそ、来年もよろしくお願い致します。よいお年をお過ごし下さい」

姫佳と邑理は三人を見送り、軽く息を吐く。

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