恋愛短編集
わたしはとある道筋に嫁いだ。

勿論、抵抗はした。

家出という形で。

しかしながら、わたしをかくまった相手が、まさか噂の結婚相手だったとは。

わたしの主人は、わたしを見るなり縁談を受けて、反対もなしにわたしを手に入れた。

ペパーミントのワンピースに合う白いレースでできた短めのワンピースを羽織り、ピンクのポーチに必要なものを詰め込み、軽く化粧をした。

自分の部屋を出て、居間に行くと何人もの男性がうろうろしている。

「若姐さん、車はご用意できてます」

「ありがとう」

「きちんと、ピンクグレープフルーツジュースも入ってます」

わたしの後ろを歩く男性の一人が告げた。

「そっか……ねぇ、たまには一人じゃダメかな?」

わたしはうるうると瞳を潤ませて、男性の一人に尋ねた。

「だっ、駄目です!若の……」

わたしはニッコリと笑う。

「大丈夫!無事に待ち合わせに着けばいいんだから!じゃ、行ってきま~す!」

わたしが駆け出すと、玄関で何かにぶつかった。
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