Fragile~思い出に変わるまで〜
嫌な予感は当たってしまった。


やっぱりという思いと、どうして?という思いがごちゃ混ぜになって動悸が激しくなっていく。


ギュッと目をつぶり、深く息を吐いて呼吸を整えていると、肩に手が置かれたのを感じてビクッと体が震えた。


「……やっ!」


思わずその手を払い除けてしまった。


ハッとして健を見る。


心配してくれたに違いないのに、そんな態度をとってしまった自分に驚いた。


「ごめっ……」


健の傷ついたような顔に、慌てて謝ろうとしたけれど、うまく言葉が出てこない。


「いや……

こっちが悪いんだし、仕方ないよ

俺の方こそ無神経なことしてごめん……」


な……んで?


なんで謝るの?


悪いって……何?


何か謝らなきゃいけないようなことしたの?


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