Fragile~思い出に変わるまで〜
「そう……それで相談てなんだったの?」


静かな怒りを胸におさめて、ものわかりのいい妻を演じることにした。


私の態度が少し緩和されたと思ったのだろう。


健は先程よりも勢いよく話しはじめた。


「藤森がバツイチなのは話したよな?

その旦那が今頃になって復縁したいって言ってきたらしくて……

でも藤森は全然そんな気ないから、断るつもりで相手の家に話をしに行ったみたいなんだ

そしたら……」


健は少し迷ったように口ごもったけれど、やはり言うべきだと思ったのだろう。


一呼吸おいてから、思いきったように言った。


「なんか……

元旦那に襲われそうになったらしくてさ」


彼女のことを思って心底悲しそうな顔をする健を見て、またチクリと胸が痛む。


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