Fragile~思い出に変わるまで〜
思ったとおりだ……


全部聞き終わって、健のお人よしさ加減に頭を抱えた。


同時に昔の彼女だからこそあえて聞いてあげてるのかと思うと、また胸が苦しくなる。


答えはわかっていた。


でも、敢えてそれを聞いてみる。


「それで……健はどうするつもりなの?」


彼は少し困った顔をしながら、言いにくそうに答えた。


「最初はさ……断ったんだよ

俺は既婚者だし相手に調べられたらすぐばれるからって」


確かにそうだ。


既婚者相手に好きだと言っても、信じてくれないだろう。


その場しのぎに頼まれたんだとしか思われないかもしれない。


「それにさとみにも迷惑かけることになると嫌だったからさ」


そう悲しそうな瞳で私の様子を伺ってくる。


反則だ。


そんな目で見られたら、許してしまいそうになる。


< 108 / 589 >

この作品をシェア

pagetop