Fragile~思い出に変わるまで〜
「健の誠意は伝わったから……

子供に罪はないし、健に出来ることがあるなら、助けてあげて?」


子供に言い聞かせるように静かに優しくそう言いながら髪を撫でる。


私は、彼を許す決断をした。


これ以上、彼女に関わってほしくはなかったけれど、私がそんなことしてほしくないと言ったところで、健を困らせるだけだ。


隠れてやられるリスクを考えたら、物分かりのいい妻を演じて、ちゃんと報告してもらったほうがいい。


だけどその決断が、この先藤森さんの話を何度も聞かされることになるなんて……






私はまだ気づいていなかった。


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