Fragile~思い出に変わるまで〜
「すげー、いい天気ですねぇ
気持ちいいー!
たまには歩くのもいいっすねぇ?
もうすぐ桜、咲きそうだなぁ」
雲ひとつない晴天の中、得意先からの帰り道を桜井と歩いていた。
隣で脳天気な声を出している桜井とは対照的に、俺の心はブルーだ。
さとみには正直に話して、わかってくれた……と思う。
ほんとは嫌なんだろうが、最後には俺の気持ちを尊重してくれる。
さとみのそんなところが、自分には心地よくて安心できる場所だと思っていた。
でも今回ばかりはそんなさとみに甘えている自分に気づいて、自己嫌悪に陥る。
そんな俺のブルーな気分に追い打ちをかけるように、桜井が冗談ぽく笑いかけた。