Fragile~思い出に変わるまで〜



仕事の帰りに牛丼屋に寄って軽く夕食を済ませた俺は、9時ごろには家に着いていた。


風呂に入り、パジャマに着替えると、テレビをつけてソファーでくつろぐ。


なんか変な感じだな……と、ふと思った。


いつも家にいるはずのさとみがいないだけで、家の中がガランとして見える。


今頃楽しんでんのかな……?


ボーッとテレビを眺めながらそんなことを思っていると、携帯が鳴った気がした。


――さとみ?


急いで携帯のディスプレイを開く。


受信メールはさとみではなく、藤森からのものだった。


なんだ、藤森か……


そう落胆して初めて、さとみが飲みに行くことで頭がいっぱいだったことに気付く。


藤森の子供と何回か会わなければならなくなったことを報告しようと思っていたのに、すっかり忘れていた。


まあ今夜はいないから仕方ないか……


そう自分を納得させて、藤森からのメールを読んだ。


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