Fragile～思い出に変わるまで〜

それにしても……


ふと壁にかかっている時計を見た。


もう11時を回っている……


いつもの忘年会なんかでも、さとみは10時前には帰宅していることが多い。


次の日が仕事ならなおさらこんなに遅くなることはない。


――どうしたんだろう？


自分が遅くなったときのことは置いといて、さとみが心配になる。


メールでもしてみようか……？


そう思ったと同時に、手の中の携帯が震えた。


びっくりして慌てて携帯を開くと、メールではなく着信だったことに気付く。


「どうした？さとみ？」


そう勢いよく電話に出ると、さとみではない声の主が話しはじめた。


「もしもーし、健？
ごーめん！私、美咲！

実はさとみと飲んでたの私なんだよねぇ

それでね？申し訳ないんだけど、さとみ潰れちゃってさぁ

うちに泊めるからよろしく！」