Fragile~思い出に変わるまで〜
しかしそれさえも、俺が出かけるのを見届けたくなくて、わざと起きて来ないんじゃないかと邪推する自分がいる。


なんでこんな風になっちゃったんだろうな……


小さくため息を吐きながら、ジーパンにシャツを重ね、上からシルバーのダウンを羽織った。


さとみを起こさないようにそっと玄関のドアを閉める。


エレベーターに乗り、マンションの地下にある駐車場に向かうと、黒のスポーツワゴンに近づいていく。


ピッとリモコンキーで鍵を開けると、そのまま慣れた手つきで車に乗り込んだ。


向かう途中、運転しながら天気の良さに眩しくて目を細める。


晴れたから動物園か……


そう急に思い出した。


子供のいない俺にとって、動物園は小学生以来かもしれない。


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