Fragile~思い出に変わるまで〜
そう目をパチパチさせながらたどたどしく俺の名前を呼ぶ姿に、一気にメロメロになった。


「可愛いなぁ

藤森!俺のことたけるくんて呼んでくれた!」


テンション上がりまくりの俺を見て、藤森はうれしそうに答える。


「最初、たけるおじさんにしようかと思ったんだけど、ショック受けるといけないから、たけるくんにしてみた」


ペロッと舌を出して、いたずらっぽく笑う藤森に、不覚にもドキッとしてしまう。


そんな思いを振り払って、なんだよそれ……と照れ隠しに言いながら、慌てて車を発進させた。


道中、ひなちゃんが飽きないように、藤森が持参した童謡やアニメの主題歌を集めたCDを聞いたり、しりとりをして遊んだりしながら、だんだん打ち解けていく。


動物園に着いた頃には俺はすっかり懐かれてしまっていた。


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