Fragile~思い出に変わるまで〜
懐かしいな……
三人でパンダや猿、キリンにゾウ、次々と動物を見て周りながら、自分も親に連れられて興奮したことを思い出す。
絵本や図鑑で見ていた動物が、動いて目の前にいる感動は、いまでも覚えていた。
ちらっと自分と手を繋いでいるひなちゃんを見る。
隣でキラキラした目をしてライオンを見ている彼女も、いずれ今日のことを思い出すときがくるんだろうかと、不思議な感覚になった。
しばらくするとひなちゃんが突然ぐずり出して、藤森の方に顔を向ける。
「ママー、ひな、おなかすいたぁ」
そういえばもう昼時だ。
「なんか買ってくるよ」
繋いだ手を離して藤森にひなちゃんの手を差し出すと、彼女は急に得意満面な顔をして、俺にニッコリ笑いかけた。