Fragile~思い出に変わるまで〜
「ふっふっふ、動物園と言えば、お弁当でしょ!」


ジャーンとお弁当らしきバスケットを高々とあげて、俺の目の前に誇らしげに見せた。


「え!何?作ってきてくれたの?

大変だったろ?」


すると藤森はとんでもないという風に首を振った。


「たいしたことないよ

健には無理言って付き合ってもらってるんだから、逆にこのくらいしかできなくて申し訳ないくらい」


野外に設置してある木のテーブルとベンチを見つけると、藤森はそう言いながら歩いていく。


弁当かぁ……と俺はちょっとうれしくなった。


さとみと二人だと弁当を持って出かけることはほとんどない。


映画を見に行ったり、音楽を聴きに行ったり、テーマパーク的なところでは、そこにあるレストランで食べるスタイルが多い。


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