Fragile~思い出に変わるまで〜
あれからずっと健には普通に接してきたつもりだ。


でも少なからずその不自然さに健も気づいているだろう。


それなのにその上で馬鹿正直に藤森さんと出かける話をわざわざ報告してくる。


そんな健にイライラしたしムカムカした。


隠れて会われるのはもちろん嫌だ……


正直に話してくれるのは、健の誠意なのもわかってる。


でも今は……


彼女の名前を聞くのが辛い。


私はそんな葛藤に、押し潰されそうになっていた。


不安でドキドキする胸を押さえて、ベッドから起き上がる。


お気に入りの緑の遮光カーテンを勢いよく開けると、眩しい光が差し込んできた。


いい天気だなぁ……


てことは……動物園か……。


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