Fragile~思い出に変わるまで〜



昼休みから戻ると、桜井がもう準備して待っていた。


午後一で得意先に行く予定だったのを思い出して、急いで支度をする。


「悪い、待たせたな?
じゃあ行こうか」


「……はい」


いつもなら、うるさいほどテンション高めに話しかけてくるくせに、そんなあっさりとした元気のない返事をされて、俺は思わず桜井の顔を見た。


「どうした?なんかあったのか?」


心なしか顔色も悪いように見える。


珍しく真面目な、思い詰めたような顔。


桜井はハッとしたように俺を見て、それから気まずそうに目を逸らした。


「なんだよ、言いたいことあるならちゃんと言えよ」


なんだろう?明らかにいつもと様子が違う。


こっちが気を遣って優しく聞いてるのに、桜井はなんでもありませんの一点張りだ。


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